[2018WC] フランス、輝いた異なる個性

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2018年ワールドカップ決勝はフランスが20年ぶりの栄冠を手にして幕を閉じた。決勝はこれまで接戦を制して勝ち上がってきたクロアチアと、安定感のあるサッカーで優勝候補だったアルゼンチンやベルギーなどを撃破してきたフランスの対戦となった。

フランスの個の底力が際立った決勝戦だった。

前半、クロアチアの圧力で中盤で優位を失っていたフランスだが、ここまでフランスの得点源となってきたセットプレーでまたしても魅せたのがFWグリーズマンだった。ゴール前で得たファウルから得意のセットプレーで左足一閃。記録はクロアチアのマンジュキッチのオウンゴールとなったが、実質的にはグリーズマンの直接ゴールと言っても過言ではない。まさに、フランスが勝ち上がっていく原動力となった役者が決めたゴールだった。

ちなみに、グリーズマンがフランスのチームで果たした役割はかなり大きかったと個人的には思っている。フランスは平均年齢が25.6歳とかなり若いチームだ。グリーズマンだって27歳と、他のチームで言えば中堅にあたる年齢だが、チームに落ち着きと安定感をもたらしたのは、この27歳だった。苦しい時間帯にペースをダウンしたり、前線で落ち着いてボールを保持したり、一人で仕掛けていったり、相手にボールがあれば泥臭くプレッシャーに行くことも厭わない。デシャン監督がチームの功労者の1人としてFWのグリーズマンを挙げたのは必然とも言える。

こうした突出したタレントがフランスにはグリーズマンのほかに3人いたことが、フランス優勝の要因だ。2人目に挙げたいのは、試合を決定づけた3点目を決めたMFポグバだ。191㎝の長身で、長い手足を生かした高い身体能力を持つ25歳が決勝戦では見事に存在感を見せた。前線で待つ19歳のFWムバッペへの矢のようなロングボール、そして中盤から長い距離を走ってゴール前に現れ、振り抜いた左足でボールをゴールに突き刺した。後半、クロアチアはペリシッチのハンドでPKを取られて1点ビハインドになり、前掛かりに攻め込んでいた矢先で、逆にクロアチアを突き放す1点となった。

ポグバはワールドカップのグループリーグではそこまで目立った活躍ができていなかった。しかし、決勝トーナメントに入り、エンジン全開。高い身体能力を生かして、チームを躍動させる推進力になった。

この推進力を、ワールドカップを通して爆発力に変えたのがFWのムバッペだ。この日も異次元のスピードでクロアチアDFを翻弄。ムバッペがボールを持つと何かしらやってくれそうな期待感が高まる。試合を決定づける4点目を奪ったのも、ムバッペだった。抜群の突破力に、魅せる技術を兼ね備え次世代のヒーローとされるムバッペだが、今大会でやや残念だったのはブラジルのネイマールばりのシミュレーションに、非紳士的行為とされる遅延行為と、悪目立ちもしたからだ。世界にアピールしたのはその実力だけでなく、やんちゃな態度もで、「ムバッペ好きになりそうだったのに残念」といった声が色々なところで聞かれた。願わくば、チームにいるグリーズマンを手本に、プレーだけでなく態度も超一流へと、さらなる成長が期待される。

最後に挙げたいのは、決勝では途中交代だったものの、チームを決勝まで押し上げたのはMFカンテなくしてはあり得なかっただろう、ということ。カンテはチームのダイナモ的な存在で、縦横無尽に走り回って相手の攻撃の芽を摘み取る役割を果たした。特に際立っていたのはアルゼンチン戦で、メッシをあれだけ押さえ込めたのはカンテがいたからだろう。

決勝は逆にカンテをクロアチアに狙われていた。カンテにボールが渡ったときに、モドリッチなどクロアチア選手が素早く圧力をかけてボールを奪取。ボールを支配されていたからだ。そして前半にイエローカードをもらったことで、カンテも積極的な守備がしづらくなった。そこでデシャン監督は後半の10分過ぎにカンテをあきらめて、交代したけれども、優勝したフランスを影で支えたのはカンテだった。

こうした突出した異なる個性が試合を重ねるごとに成熟していったのがフランスだった。まさに勝つべくして勝った決勝だった。90分のうち、7割くらいは攻められていたけれども、最終的にはフランスの個性が輝き試合を決めた。クロアチアもドラマティックな試合を重ねてきたし、決勝も内容はフランスよりも良かったかもしれない。ただ、最後は突出した個性の前に力尽き、初優勝とはならなかった。

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