[2018WC] 高かったベスト8の壁

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最後は力負けだった。ワールドカップ決勝トーナメント。日本対ベルギーは日本が後半2点先制しながらも、ベルギーに追加タイムを含め3得点を奪われ逆転負けを喫した。世界3位を相手にギリギリの勝負を挑んだが、ベスト8の壁はなお高かった。

「何が足りなかったのでしょうね」。試合直後のインタビューで西野監督は絞り出すようにつぶやいた。この日の日本のパフォーマンスは120%と言えるほど良かった。相手の中盤デブルイネから自由にパスを出させないように、ディフェンスからデブルイネへのパスコースを遮断。ディフェンスにボールを戻そうとしたところで、大迫や香川がプレスに行き、苦し紛れに前線に出たボールを日本の吉田や昌子が跳ね返す。きっと狙い通りの試合運びだったはずだ。

攻撃面では香川や乾がアイデアを、柴崎が縦への推進力をチームにもたらした。目算を誤ったのはきっと本気のベルギーに対して、90分間戦えるフィジカルだ。日本は序盤から局面局面でベルギーのFWルカクやMFアザールらに対してギリギリの戦いを強いられた。90%の力に対して、日本は限界以上の120%を出してようやく止められるような展開だった。これは徐々に体力が削られていく後半にボディーブローのように効き、悪夢の逆転負けにつながっていく布石となった。

フィジカルの差というのは単純に体格だけの問題ではない。相手とカラダをぶつけ合ったときに、バランスを崩されない強さだ。フィジカルの強さで言えば、たとえば中田英寿や長友をイメージすると良いかもしれない。ディフェンスで言えば、マリノスの中澤もバランス感覚に優れ、安定感があるように思う。ただ、これは単純に体幹を鍛えれば良いわけではない。フィジカルの差は相手よりも先にボールの落下点に入ったり、ポジショニングやボールの持ち方でカバーできる部分があるからだ。

問題は相手がペナルティーエリアから10メートルほど離れた距離でボールを持ったときの寄せの速さと距離感だ。抜かれまいとする姿勢や心情はわかるけれど、その寄せのスピードが遅く、中途半端な距離があるおかげで人がいるだけでほとんど効果のないディフェンスになってしまっている場合が多々ある。振り切られず、相手にプレッシャーを与えられる距離感。これが中途半端なおかげでアザールに好き勝手やられていた。かなり多くの決定機を作られていたし、実際、運にも助けられた部分も多い。点差以上に実力差はあったように思う。

前半は柴崎と長谷部が上手にカバーしていた。けれど、いつまでも120%の状態が続けられるわけもない。長谷部の体力が削られて、ディフェンスラインに吸収されてしまうと、ぽっかり空いた中盤の穴を柴崎一人で埋めるのは不可能だった。そこから始まった守備に対する高い負荷が一定ラインを超えたからこその3失点だった。

西野監督は疲れの見える柴崎を交代させ、守備への負荷を軽くしようと山口を投入。打開を図ったが、ほとんどベルギーの攻撃陣の前に無力だった。

日本がベスト8の壁を破るには、柴崎の活躍がヒントになりそうだ。柴崎はスペインで縦への展開力を磨くと同時に、守備の力も相当向上していた。少なくとも日本の鹿島アントラーズ時代は山口の方が守備の面で高い能力を発揮していた印象だった。それが今回のW杯では柴崎が全てにおいて上回っていた。

攻撃では香川や本田をはじめ、欧州組が増えて一定の成果は見えた。乾や原口もベスト16の原動力になったことは間違いない。あと一歩のピースは屋台骨となる中盤と守備のセンターラインの強化だろう。衰えの見える長谷部に代わる人材や吉田のようなセンターバックで海外でレギュラーを張る人材。あと一歩で逃したベスト8。次なるW杯に向けて、光は見えている。

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