指針なき戦い〜ハリルホジッチ監督解任

サッカー日本代表の迷走はいつまで続くのだろうか。日本サッカー協会はハリルホジッチ監督を解任し、技術強化委員長を務めていた西野朗氏を監督に据えることを決めた。ハリル監督の解任は遅すぎたけれど、必然だったと思う。サッカー協会会長の言葉を借りれば「選手とのコミュニケーションが希薄になっていた」という。その結果がチーム内の状況を熟知し、「コミュニケーションが取れる」西野氏だ。

ぼくは正直、本番のロシアワールドカップまで2ヶ月という時期に結果が求められる代表監督になれる人が西野氏しかいなかったというのが実情ではないかと見ている。ただ、問題の本質は何をすれば日本代表は勝てるのかという点が見えない点だ。

日本代表のチーム作りは遅れに遅れた。3月のテストマッチを経ても選手の選定に手間取っていた。昨年、オーストラリアに勝利してロシアW杯の切符を手にして以降、チームは成熟するどころか崩壊の一途をたどった。誤算はハリルが目指した縦に速いサッカーが全く戦術として浸透しなかったことだ。ぼくはハリルジャパンのベストマッチはW杯を決めたオーストラリア戦だと思っている。中盤でゾーンをひいて、井手口や山口、長谷部がプレッシングでボールを高い位置で奪い、縦に素早くボールを供給。チャンスを演出してゴールに結びつけるサッカーだ。

これはこれで「アリ」だと思った。しかし、問題はこのサッカーがハマらない相手に対して、どう戦術を組み立てていくのかという点が見えなかったこと。さらには、このショートカウンターを狙ったサッカーですら、メンバーがころころ変わるので成熟しなかったことだ。90分を通じてハイプレッシングをかけ続けることは無理なので、ボールを相手に持たせながら、ボールを奪う位置の認識を共有する必要がある。これが進まなかった。その上、立て直すときにボールポゼッションをどうしていくのか。本田を中心に選手はこの裁量を求めたけれども、ハリルはこれに否定的で、選手との対立を生んだ。

結局、ハリルの戦術の引き出しが少なかったところが、チームの不振と相まって解任につながったのではないかと思っている。

では何をすれば日本代表は勝てるのか。このカギを握るのは日本代表の現時点の位置づけを明確にする必要がある。アジアでは勝てるけれど、欧州や南米のチームと対戦すると、個人vs個人ではまだ差がある。個を磨きながら組織で戦う。この命題は今のところ大きくずれてはいないはずだ。その組織力をどういう戦術の元で磨くのか。イタリアのザッケローニ監督の時はボールポゼッションをしながらチャンスをいかに多く作るかという戦術でチーム作りをした。

しかし、それではW杯では通用しなかった。だからといって、そのときに磨いた資産がダメなわけではなかったはずだ。通用する部分としない部分を見極めて次につなげれば良かったのだけれど、結果的にハリル氏を選んだことでこれまでの資産をすべて捨て去ることになった。個人への重点が強すぎたわけだ。アルジェリアの監督を務めたハリル氏にとって身体能力で打開できる選手が日本代表にいなかったのは大きな誤算だったのだろう。

結局は個を生かす組織・戦術を求める方向に舵を切らなくては勝てないと思う。そこで、西野氏がどのようなサッカーを模索するのか。日本代表では若手世代を率いてブラジル代表をオリンピックで下したマイアミの奇跡やガンバ大阪や柏レイソルでの実績はあるけれど、どれもオーソドックスな守備を固めてカウンターのイメージが強い。弱いチームが強いチームに勝つには、そういうカウンターサッカーも必要かもしれない。けれど、日本代表の未来を考えたときに、それでは何も積み重ならないような気がするのは杞憂だろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事
Theme by LIQUID PRESS.