Uberはキャズムを超えるか(1)

ITを使って人やモノをマッチングして共有するシェアリングエコノミー。その代表格として脚光を浴びるのがスマートフォン(スマホ)を使った配車サービス「Uber」だ。わずか5年で54ヵ国・地域(2015年1月30日時点)に展開するまでに成長し、破壊的なサービスとして各国で波紋を呼んでいるUberだが、果たして保守的な日本のタクシー業界に風穴を開ける”黒船”となるか。

まずはUberについて基本的な情報をまとめてみたい。
Uber地図

●時価総額は世界9位の4.8兆円

Uberは2009年にトラビス・カラニック氏(現CEO)らが創業。Uber technologiesとして10年に米サンフランシスコでサービスを始めた。サービス内容はスマホのGPS機能を使って現在地と目的地を入力すると、最寄りのタクシーやハイヤーが送迎に来て目的地まで運ぶ。事前にクレジットカードを登録しておくことで、キャッシュレスで快適に乗車できるのが特徴だ。

ビジネスモデルとしてはUberいわく輸送サービスではなく、あくまでITを使った配車サービス。法規制でここの違いが非常に重要で、日本では旅行業の資格を取得してサービスを展開している。ドライバーから手数料として20〜25%を徴収した額が売上高となり、15年末には20〜25億ドルに達すると予測されている。

14年12月に資金調達したときの時価総額は410億ドル、日本円にして約4.8兆円に達した(The Wall Street Journal “Uber Snags $41 Billion Valuation“)。日本のベンチャーキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズの湯浅エムレ秀和さんがブログで書かれている「Uberは4.8兆円の価値があるのか?」によれば、自動車メーカーで言えば、日産(10位)を抜き去り、世界9位に位置づけられるという。

ちなみに、「サンフランシスコの売上げが そのタクシー市場全体を上回る?」(THE BRIDGE)によると、

 サンフランシスコにおけるUberの年間売上げは5億ドル。年間1.4億ドルだというサンフランシスコのタクシー市場自体を大幅に上回ってる。

 サンフランシスコのUberの売上げは、毎年200%で増加中。その他にも、サンフランシスコにおけるUberの乗車数は毎年3倍伸びていて、ニューヨークはそれを上回る4倍。さらに、ロンドンは毎年5〜6倍も伸びているそう。

日本では14年3月にサービス開始した。当初はハイヤーのみだったが、同年8月にタクシー配車も追加。ハイヤー配車のUberBlack、ハイグレード車を配車するUberLux、通常のタクシーを配車するUberTaxiの3つのメニューから利用ができる。料金体系はちょっと調べてみた感じでは下記のようになる(間違っていたら訂正しますのでお知らせください)。

Uber料金体系

日経新聞電子版の「黒船・ウーバーが点火したタクシー下克上」(2014年10月20日付)によると、ハイヤーのUberBlackは通常のタクシーに比べて2〜3割ほど料金が高くなるという。

●Uberが波紋を呼ぶワケ

こうした基本情報を踏まえて、Uberが波紋を呼んでいる問題点を整理してみよう。

まず、各国のタクシー市場に破壊的なインパクトを及ぼす点。基本的にタクシー業界というのはだいたいどこの国でも規制の対象となっていることが多く、人員輸送サービスとしての許認可事業だったりする。日本市場にはハイヤー配車からサービスインしたが、欧米では廉価版のタクシー事業の方が主流。スマホで簡単に配車してもらえてそこそこの料金という利便性が相まって爆発的に普及したことで、既存のタクシー需要のパイを奪っており、業界に壊滅的な影響を及ぼすとの懸念が出ている。

次に消費者保護の観点。Uberに登録すれば、ドライバーは簡単にUberのサービスの担い手になれる。日本では当たり前のように目的地まで送り届けてくれるが、海外では必ずしもそうではない。ドライバーの質が担保されずにきちんと目的地に送迎してくれるかという点に加え、犯罪に巻き込まれるケースもある。

たとえば、ハフィントンポストには「レイプ事件相次ぐインド、タクシーアプリ『Uber』運転手がデリーで女性に暴行」という記事も出ている。この記事によると、ドライバーの容疑者についてUberは住所も携帯電話番号も確認していなかったという。

タクシー事業は最低限、車の運転ができれば、誰でもドライバーになれるという意味で参入障壁が低く、安全性や料金を度外視して事業が成立しないほど過当競争になりがちな側面があるので、許認可制が敷かれる場合が多い。その安全性の観点から各国の当局からUberに「待った」がかけられているのが現状だ。

次回は日本を取り巻く状況からUber事業の可能性を探ってみる。

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