ルーブル急落が示すもの

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ロシアの通貨ルーブルが1ドル=78ルーブルになった、という話(「ロシアルーブル急落、最安値更新」)が結構大きなニュースになっています。なんのこっちゃい、と思うかもしれませんが、極端なこと言えば、戦争の火種になりかねない話です。

原油安がルーブル急落に波及

めちゃくちゃ簡単にざっくりと流れを追うと、

原油安
→稼ぎの大半を原油に頼っているロシア経済って大丈夫?
→投資家がロシア通貨のルーブルでお金をロシアに預けていることに不安
→ルーブルをドルやユーロ、円に換えよう=通貨安
→ロシアの通貨価値がここ1年の間の最高値に比べて半値に
→ロシア、びっくりして政策金利を一気に6.5%値上げして17%に
※利上げすると、銀行の金利が高くなるので投資家がルーブルでお金を預ける意欲が高まって、ルーブルからドルやユーロに換えない効果が得られるという理屈
→それでも、ルーブル安止まらず(泣)←今、ここ

少し詳しく説明を加えていきます。

今回、ルーブル急落のきっかけとなったのは原油価格の急落です。一般人からしてみれば、原油価格が下がればガソリンも安くなるので嬉しい話なのですが、原油を売る側からすると儲けが少なくなってしまう。これまで1リットル100円で売れていたのに、80円でしか売れなくなってしまった、と。現実には原油の単位はバレルで表すので、1バレルあたりの価格ですが、WTIという国際指標で見ると6月に1バレル107ドルくらいだったのが、12月16日には53ドルくらいまで下がってしまったのです。

シェール革命とOPECの空中分解

なんでこんなことが起きたのか。

主な要因は2つあります。1つは米国がこれまで難しかったシェール層から石油を抽出できるようになり(いわゆるシェール革命)、原油をじゃんじゃん生産し始めたことです。石油の需要に対して供給が多くなり、価格が下がるという市場のメカニズムですね。

ただ、これまでは供給量が多くなると、これまではサウジアラビアを中心としたOPECが原油の生産量を少なくして調整し、原油が値崩れしないようにしていたわけです。でも、今回は違いました。11月27日に開かれたOPEC総会で減産が見送られたのです。これが第2の要因です。

なぜサウジが減産を見送り、価格調整役を放棄したのか。

色々な報道から2つの観点が考えられるようです。米国とほかのOPEC諸国への牽制です。シェール革命で米国の原油生産が増えるといっても、結構なコストが原油生産にはかかる。どうも60ドルくらいまで下がると、米国の原油生産は採算が取れなくなるようで、そこまで価格が下がるまで我慢しようという見方。いわばチキンレースみたいなものです。

一方、ほかのOPEC諸国に対する牽制とはどういうことか。これまで価格調整のために減産をしてきたサウジですが、実はほかのOPEC諸国は減産の取り決めをしても守らないことがしばしばあった。つまり、痛みを我慢して減産がんばっていたのはOPECの中ではサウジだけ、みたいな状況があったと言われています。実際はOPEC諸国は原油の収入に頼っていて、その収入を当てにして国の財政運営の赤字を補填してきているので、減産なんてしたら財政破綻に追い込まれかねない状況もあるわけです。

追い込まれたロシア

こんな絡み合う利害関係の中で、OPECは価格調整をしないことを決め、原油安はどんどん進んでいった。で、ロシアに話を戻すと、ロシアは輸出総額に占める原油、石油製品、および天然ガスの割合が7割近くに上り、かなり原油で稼いでいます。その原油価格がすごい勢いで下がっているので、ロシアとしてはたまらないわけです。しかも、ロシアはクリミア編入などを巡り米国から経済制裁を受け、国際的に孤立を深めています。原油をじゃんじゃん生産する米国の嫌がらせとの見方もあり、追い込まれたプーチン大統領はどうでるか、という緊迫した状況になりつつあります。

参考リンク
経済ニュースの”ここがツボ”(マイナビニュース)
OPEC崩壊、原油価格はまだ下がる(日経ビジネス)

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