雨と本田という誤算

「自分たちのサッカーを表現できなかった」

サッカーW杯日本代表が15日(日本時間)、コートジボワールとの初戦を1−2で敗れた直後、主将を務める長谷部は試合を振り返り、こう言葉を絞りだ出した。

素早いパスをつないでボールの保有率を高め、ゴールを狙うポゼッションサッカーが特徴の日本。だが、その特徴を十分に引き出すには2つの条件が必要だ。1つめは戦術的に選手間が近い位置でプレーすること。2つめはパスをつなぎやすいピッチコンディションであること。その2つがコートジボワール戦では雨という要素で決壊した。

じゃあ、雨だったら日本は勝てないのか。

といえば、そうでもない。ピッチコンディションが多少悪いくらいでやりたいサッカーができないようであれば、お話にならない。ただ、身体的に有利なアフリカ勢を相手にすると、話は違ってくる。雨だとピッチは滑りやすく、一歩が遅くなりがちで、踏ん張りもききにくい。ただでさえ、身体能力で不利な状況に雨という要素が加わると、いつも通りにプレーすることは難しくなる。

そして、雨であれば簡単にプレーしようとするので、細かくボールをつなぐよりもロングボールやショートパスも比較的長めのゴロパスが増える。そうすると、日本の中盤のプレスが効きにくくなる。日本も相手の身体能力を警戒し、中盤で相手と少し距離を取って、簡単に抜かれないようにプレーしていたが、これも裏目に出た。

ただでさえ、一歩が遅くなる濡れたピッチ。相手に前を向かせてプレーさせた方がまずかった。前半の中盤までは長谷部と山口が上手にバランスを取ってお互いにカバーし合っていたが、体力的にきつくなる前半終了間際はかなり攻め込まれていたのは、中盤のスペースを上手に使われていたからだ。

後半に入ると、最近の「勝利の方程式」(?)とも言える遠藤を投入して追加点を取りに行く姿勢を鮮明に打ち出した。ただ、遠藤の投入は諸刃の剣。攻撃陣が活性化せず、逆に中盤の守備の崩壊を招いてしまった。

なぜ、攻撃陣が活性化しなかったのか。

色々な要因が重なり合っているはずだが、ぼくは先制点を奪った本田と香川を挙げたい。本田は見事に前半16分に日本の初シュートを初ゴールに結びつけ、良い意味でリズムを変えた。コンディションが100%でなかったとしても、「さすがは本田」と思わせるプレーを披露した。

ただ、これが時間の経過とともに、歯車がかみ合わなくなる。特に後半は簡単にパスをはたく局面での凡ミスがあまりにも目立ったが、前半のゴールの印象が残り、本田を交代したくても変な期待感などから代えにくくなってしまった。前半の殊勲者は本田だったかもしれないが、後半は別人のように敗戦の戦犯のような出来だった。

原因は攻撃の選手が互いに適切な距離にいなかったことも原因だが、香川の出来の悪さともシンクロした。ドリブルが得意な香川だが、濡れたピッチではその特徴も出しにくい。もっとゴール近くでプレーすべきだったが、これもできずに見せ場少なく交代となった。

次戦はギリシャ戦。この日、同じくコロンビアに0−3で敗れたギリシャだが、得意の攻撃はカウンター。コロンビアに3点を取られたとはいえ、ヨーロッパ予選では堅守が強みとされている。お互いに隙を突き合う展開になりそうな気がするが、最近のサッカーシーンのトレンドではポゼッションサッカーがかなり研究されている。

というのも、バルセロナや監督がグアルディオラになってからのバイエルンが一時期、ポゼッションサッカーで無類の強さを誇ったため、それに対抗して各チームが対策を徹底。結果、直近の欧州チャンピオンズリーグでバイエルンがレアルマドリーに負けたり、W杯グループリーグ予選でスペインがオランダに1−5で敗れたりしている。

日本が決勝Tに進出するには、単なる監督の戦術踏襲にとどまらず、チーム全体の状況を考えて多少、戦術をそれて各選手が独自にプレーすることで幅を持たす必要もありそうだ。

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