都知事選、家入旋風は起きたか

Tochijisen
都知事選が終わりました。結果はまぁ予想通り。一個人として家入さんがどこまで得票できるか注目をしていたのですが、「泡沫」というくくりを抜け出すことができなかったのは残念でした。

■ 起業家らしい選挙

家入さんに限って言えば、30歳くらいを中心とした若年層の支持しか集められない手法しか色々な制約上で取れなかったのが敗因じゃないかと。きっと起業家って選挙には向かないんじゃないかな。というのも、起業家は基本的にアーリーアダプターで、まだ誰も気づかない部分にいち早く着目して事業化していく人種でしょ。まずはエッジの効いた人たちの興味を引きつけ、小さく事業化してムーブメントを引き起こして、その中でマジョリティー受けする事業は普及する。

つまり、短い期間でマジョリティー受けするような活動って起業家という人種が苦手とする分野だと思うんです。特に家入さんは普及期になるとつまらなくなって、後任に事業を渡して手離れしてしまう。そういう点も選挙というマジョリティーを短い期間に獲得するノウハウはほとんどなかったのではないかと推測します。

勝つためには、本来であれば得意な若年層ではなく、中高年層にいかに主張を浸透させるかという戦術が不可欠だったわけですが、その部分が致命的に欠けていたように思います。

■ 信用力なかった?

ネットへのアプローチや政策の作り方は非常に興味深かったけれど、政策もさることながら都知事としての資質、たとえば年代を超えて利害関係を調整できるリーダーシップとか、言動の信頼性とか、そういった部分は疑問符がもたれていたようにも思います。

たとえば、twitterで一度、都知事選に出る意向をつぶやいておきながら辞めたり、ビジネスでの取引でもお金の支払いが済んでいるとかいないとか、そういったトラブルが散見されたし。その辺は東浩紀さんの「なにも書く気が起きない」とか、やまもといちろうさんの「家入一真2013 ~今年の一真は踏み倒しを寄付呼びかけで埋める~」をご参照。

なんだか言動や行動が軽い印象があるんですよね。中高年層はそういう部分きっちりしてほしいと思う人が多そうだし、敬遠されたのかな、と。

逆に舛添さんがなぜ選ばれたのか。しかも2位にダブルスコアの得票という圧勝。

色々と考えれば、消去法で残りそうな気がします。選挙公報を見れば、すぐに半分くらいに選択肢は狭まるし、「殿、出番です」の細川元首相は、脱原発を争点に持ってきて一躍注目は集めたけれど、それはあくまでアイキャッチ。脱原発は国の政策であって東京都ができるレベルの話でないことは明白。国にもの申すことができるのは首都である東京の役割って言うのはイマイチ説得力を持たないのではないでしょうか。それ以外の政策ってあまりぱっとしないし。

ほかの宇都宮さんは細川さんと同じく脱原発が目立った主張とされてしまっていたし、田母神さんは自衛隊を指揮統率という側面が全面に出ていましたよね。都民の中高年の関心は社会福祉(年金、介護など)が高い。という点を考えれば、厚生労働相の実績があり、母親の介護が自分の政治家としての原点と語る舛添さんに支持が集まるのは不思議ではありません。むしろ、自然な流れだったのかな、と。

家入さん支持層はきっとマスコミの「泡沫」扱いに対して憤りや、だから「マスゴミ」なんだとか、新しい民主主義の動きは最初はなかなか理解されないとか、色々な不満や批判精神を持っていると思う。ただ、こうした気持ちは非常に大事で、手法や主張は決して間違っていないし、一部に深く浸透しているだろうと思う。

でも、政治家=スーパースターではなく、コンダクターだとするなら一部の人にとってのカリスマ性だけでなく、各年代から支持を集めるような言動や行動規範が必要なことも事実。常見陽平さんが「家入一真という「実験」 希望の都市の絶望の若者ネット選挙」で書いているように、

「東京をぼくらの町に!」と言うメッセージは、わかりやすいのだが、そもそも、ぼくらとは誰なのだろう。Twitterで政策募集などを行っているのだが、これはかなり限定された「ぼくら」なのではないだろうか。そもそも、選挙期間中に政策募集というのは、実験として面白いが、票集めの上で有効だろうか。投票するからには勝ってもらわないといけないのだ。「飛べない豚はただの豚だ」は宮崎アニメ『紅の豚』の名セリフだが、知事候補は落選したら、ただの人である。

出馬のインパクトはあったけど、これで終わったら、ただの「学生の学園祭」レベル。こうした動きが若者全体のムーブメントとして広がり、投票行動に反映されたり、新世代の候補が現れたりするかどうか。家入さんの出馬の真価が問われるのはこれからかもしれません。

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